Vol.416 2024.11.12

音楽・美術の旅 メールニュース
 
Column

イタリア映画とそこに宿る音楽 その3

 その頃イタリアという自分にとっては未開の国との疎通は、幼少期のセレナードを通じてはじまったわけであったが、中学生になり久しぶりに巡り会えたイタリアの音楽はより決定的なものだったように憶えている。

 それはまったくの偶然…ある快晴の朝にラジオから聴こえてきたものがあった。
 いつものようにバタバタと朝食ながら家を飛び出そうとした頃合いで耳に飛び込んできた音楽に足が止まる。いままで聴いたことのない音楽はその朝の空気のような清々しさがあって、そこにまだ見たことのない世界の情景が浮んで、何より一日を駆けだすタイミングにもってこいの高揚感がある。

 その時分“マッティナータ”(朝の歌)というタイトルなど知る由もない。それまで聞いたことのなかった言語は、イタリア人の歌ったものであるということも後に知ることになる。水のように何ひとつわだかまりなく自分に入ってきたこのメロディ、そのままこころに住みついて、まるで録音するかのように体内のアーカイブとして記録されたのである。自分にとってはじめての経験となったわけであるが、人の声やメロディが脳内に宿り、それを引き出すことで曲名や歌手の名前を探り出した最初であった。

 まだパソコンなどない時代の話である。脳裏に刻まれた真新しい曲の検索が簡単なことではないことはわかっていた。頼りになるのは記憶されたメロディと耳から離れることのない天を突き刺すような歌声だけであった。

 印象深かった曲の冒頭を、当時通っていた中学の先生たちに「先生、こんな感じの曲です」と口ずさんでいた自分。おとなしい性格ながらこんな勇気があったものだ、と懐かしく思い返す。幾人かに尋ねた後、「それってマッティナータじゃない」と教えてくれたのが英語の先生であったことをいまもよく憶えている。

 この“マッティナータ”という楽曲が中学生の自分をイタリアへと誘ったことに違いはない。元々ナポリ民謡を代表する秀作であると思い込んでいたこの曲、それがナポリ生まれのオペラ作曲家レオンカヴァッロの作品でありながら、ナポリ民謡というジャンルには属さないということに気づいたのは後年、イタリアに渡ってからのことである。

 ひとつ疑問があるとすれば、その登校時に聴こえてきた歌声は間違いなくパヴァロッティであると確信していたつもりであったが、彼の声が録音されてLP盤として日本に渡ってきたのは1980年以降であり、どうしても時世が一致しない。オーケストラバックに朗々と歌われたラジオからの声の主がいったい誰のものであったのかいまとなっては知る由もないのであるが、いずれにしてもこの音楽との“めぐり逢い”がイタリアへの第一歩となったことは否めないのである。

マッティナータ(イメージ)

堂満尚樹(音楽ライター)
Instagram ぜひご覧ください!

【パンフレット完成しました!】
バーデン・バーデンイースター音楽祭鑑賞
&ウィーン10日間

バーデン・バーデンイースター音楽祭&ウィーン 10日間
2025年はベルリン・フィルが演奏するラスト・イヤー!K.ペトレンコ&K.マケラのバーデン・バーデン音楽祭とウィーンでティーレマン指揮《アラベラ》、コーバー指揮&K.F.フォークト出演《パルジファル》ヨンチェーヴァ&ファビアーノ、サルシ出演《アンドレア・シェニエ》を鑑賞!

旅行日程:2025年4月14日(月)~ 4月23日(水)
旅行代金:950,000円(2名1室/エコノミークラス利用/大人お1人様)
※別途空港諸税・燃油サーチャージが別途必要となります
※旅行代金には、下記の公演鑑賞代金が含まれています

◆ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
4月19日(土)18:00開演 ~バーデン・バーデン イースター音楽祭~ 祝祭劇場
◆指揮:K.マケラ
◆ピアノ:L.O.アンスネス
◆R.シュトラウス《アルプス交響曲 Op.64》、ラフマニノフ《ピアノ協奏曲 第3番 Op.30》

◆プッチーニ《蝶々夫人》
4月20日(日)18:00開演 ~バーデン・バーデン イースター音楽祭~ 祝祭劇場
◆指揮:K.ペトレンコ
◆演出:D.リヴァーモア
◆演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
◆出演予定:E.ブラット、J.テテルマン、T.クリストヤンニス、T.レルヴォリーノほか

※上記のほか、下記の公演も鑑賞可能です。(別料金)
ウィーン国立歌劇場
・ウィーン国立歌劇場は、セット申込の割引があります。詳しくは別途お渡しする説明書面でご確認ください。
◇ジョルダーノ《アンドレア・シェニエ》
4月15日(火)19:00開演予定
◇指揮:P.G.モランディ
◇演出:O.シェンク
◇出演予定:S.ヨンチェーヴァ、M.ファビアーノ、L.サルシ

◇R.シュトラウス《アラベラ》
4月16日(水)19:00開演予定
◇指揮:C.ティーレマン
◇演出:S.E.ベヒトルフ
◇出演予定:C.ニールンド、M.フォレ、M.プラマー、S.デュヴィエル、B.バンクルほか

◇ワーグナー《パルジファル》
4月17日(木)18:00開演予定
◇指揮:A.コーバー
◇演出:K.セレブレニコフ
◇出演予定:K.F.フォークト、A.カンペ、L.テジエ、G.グロイスベック、J.シュメッケンベッヒャーほか

◇ウィーン楽友協会(大ホール)
4月15日(火)20:00開演、4月17日(木)20:00開演
ウィーン・シュロスカペレ
◇指揮&ヴァイオリン:F.キルヒャー
◇ハイドン《交響曲第81番ト長調》、モーツァルト《交響曲第40番ト短調》、ヴィヴァルディ《ヴァイオリン協奏曲集「四季」》

◇フォルクス・オパー
4月16日(水)19:00開演
オットー・ニコライ《ウィンザーの陽気な女房たち》
指揮者、出演者は未発表
◇演出:N.スパイカーズ

◇~バーデン・バーデン イースター音楽祭~ 祝祭劇場
4月21日(月)20:00開演
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
◇指揮:K.ペトレンコ
◇ベートーヴェン《交響曲第9番「合唱付き」》

※記載の指揮者、出演者等は現段階での発表のものです。諸事情により事前の予告なく変更となる場合がございます。変更が生じた場合でも旅行代金の返金はいたしかねますので、予めご了承ください。

【受付中!】
1月22日出発 華麗なるメトロポリタンオペラ!
ニューヨーク滞在6日間

華麗なるメトロポリタンオペラ!ニューヨーク滞在6日
METシーズン前半のハイライト!話題の新演出&METライブビューイング公演!
A.ブルー&P.ベチャワ出演、壮大華麗な舞台も魅力の《アイーダ》、
R.ラドヴァノフスキー&B.ジェイド出演!プッチーニの情熱溢れる名作《トスカ》、名旋律と劇的なドラマが融合したヴェルディの傑作《リゴレット》を鑑賞!

旅行日程:2025年1月22日(水)~1月27日(月)
旅行代金:748,000円~798,000円 (2名1室/エコノミークラス利用/大人お1人様)

※別途空港諸税・燃油サーチャージが別途必要となります

下記2公演または1公演のいずれかをお選びいただけます。

■プッチーニ《トスカ》
【2日目】1月23日(木)19:30開演 メトロポリタン歌劇場
指揮:X.ジャン 演出:D.マクヴィガー
出演予定:S.ラドヴァノフスキー、B.ジェイド、B.ターフェルほか

■ヴェルディ《リゴレット》
【3日目】1月24日(金)19:30開演 メトロポリタン歌劇場
指揮:M.ベニーニ 演出:B.シャー
出演予定:M.チオルディ、E.モーリー、R.シャイエブ、P.パティほか

下記1公演は参加者全員にご鑑賞いただきます。

■ヴェルディ《アイーダ》-新演出-  METライブビューイング撮影公演
【4日目】1月25日(土)12:30開演 メトロポリタン歌劇場
指揮:Y.N.セガン 演出:M.メイヤー
出演予定:A.ブルー、P.ベチャワ、J.クタージ、Q.ケルシーほか

上記のほか、下記の公演も鑑賞可能です。(別料金)

■ニューヨーク・フィルハーモニック
【3日目】1月24日(金)19:30開演 デヴィッド・ゲッフェンホール
指揮&ピアノ:ユジャ・ワン
ヤナーチェク《左手ピアノと管楽器のためのカプリッチョ》
ストラヴィンスキー《ピアノと管楽器のための協奏曲》
ガーシュウィン《ラプソディー・イン・ブルー(オリジナルジャズバンド版)》

■ブルース・リウ ピアノ・リサイタル
【3日目】1月24日(金)20:00開演 カーネギーホール
チャイコフスキー《四季》
メンデルスゾーン《「真夏の夜の夢」より スケルツォ(ラフマニノフ編曲)》
スクリャービン《ピアノソナタ第4番》
プロコフィエフ《ピアノソナタ第7番》

■プッチーニ《ラ・ボエーム》
【4日目】1月25日(土)20:00開演 メトロポリタン歌劇場
指揮:Y.N.セガン
演出:F.ゼッフィレッリ
出演予定:E.ブラット、A.ザハリア、M.ポレンザーニ、D.ビズィックほか

その他、ミュージカルの鑑賞チケットも手配を承ります。(別料金)

【催行間近!】
2月13日発 グランドホテルに泊まる!
ウィーン滞在7日間

グランドホテルに泊まる!ウィーン滞在7日間
旅行日程:2025年2月13日(木)~2月19日(水)
旅行代金:728,000円(2名1室/エコノミークラス利用/大人お1人様)
※別途空港諸税・燃油サーチャージが別途必要となります

■ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
【3日目】 2月15日(土)15:30開演 楽友協会(大ホール)
指揮:R.ムーティ
シューベルト《交響曲 第4番 ハ短調「悲劇的」》、ブルックナー《交響曲 第7番 ホ長調》

■プッチーニ《トスカ》
【5日目】 2月17日(月)19:00開演(予定) ウィーン国立歌劇場
指揮:P.G.モランディ
演出:M.ヴァルマン
出演予定:S.ヨンチェヴァ、P.ベチャワ、A.マエストリほか

上記のほか、下記の公演も鑑賞可能です。(別料金)

◆ウィーン交響楽団
【2日目】 2月14日(金)19:00開演 ウィーン・コンツェルトハウス(大ホール)
指揮:A.グレーターズ
ピアノ:R.ブッフビンダー
R.シュトラウス ピアノと管弦楽のための《ブルレスク ニ短調》
 シベリウス《交響曲 第2番 ニ長調 op.43》

◆プッチーニ《つばめ》
【2日目】 2月14日(金)19:00開演 フォルクス・オパー
演出:L.d.ベア 指揮・出演者は未発表

◆バイエルン放送交響楽団
【3日目】 2月15日(土)19:30開演】ウィーン・コンツェルトハウス(大ホール)
指揮:S.ラトル
ソリスト:L.クロウ、A.シュエン
ターネジ《リメンバリング》
ブラームス《ドイツ・レクイエム op.45》

◆ウィーン少年合唱団出演のミサ
【4日目】 2月16日(日)9:15開演 王宮礼拝堂
モーツァルト《ミサ・ブレヴィス ニ長調 K.194》

◆ベートーヴェン《フィデリオ》
【4日目】 2月16日(日)※開演時刻は未発表 ウィーン国立歌劇場
指揮:A.コーバー
演出:O.シェンク
出演予定:S.シュナイダー、M.スパイヤーズ、P.ケルナー、B.ターフェルほか

◆ベッリーニ《ノルマ》
【4日目】 2月16日(日)19:30開演 アンデアウィーン劇場(2024年9月にリニューアル)
指揮:F.ランツィロッタ
演出:V.ブルハトル
出演予定:A.グリゴリアン、A.アクメトチナ、F.D.トンマーゾ、T.ナズミほか

2025年4月以降の予定音楽ツアーのご案内♪

2025年4月以降のツアーを下記の通り予定しております。パンフレットを早めにご希望の方はどうぞお気軽にご連絡ください。(仮受付も承ります)

パンフレットが完成した「バーデン・バーデンイースター音楽祭鑑賞 &ウィーン10日間」に加え、「華麗なるメトロポリタンオペラ!ニューヨーク滞在6日間」の旅行代金が決定いたしました。

詳しいご案内は音楽ツアーデスクまでお問合せください。

音楽・美術の旅 スタッフブログ&各種SNS

最新の情報はスタッフブログ&各種SNSでも随時ご紹介! 
フォロー、お友達追加をどうぞよろしくお願いいたします!
※LINEはスマートフォンからアクセスしてください
(パソコンからはご覧いただけません)


メールマガジンの内容についてのお問合せ:
郵船トラベル音楽ツアーデスク
東京都千代田区神田神保町2-2 ミレーネ神保町ビル7階
Tel. 03-6774-7940
E-mail:


このメールは、郵船トラベル メルマガ(音楽・美術の旅)をご購読の方にお送りしています。
このメールは、送信専用メールアドレスから配信されています。ご返信いただいても回答致しかねますのでご了承ください。

発行:郵船トラベル株式会社 メールマガジン事務局
〒101-8422 東京都千代田区神田神保町ミレーネ神保町ビル
E-mail:

メールアドレスの変更、各メールマガジン購読の変更・追加は
マイページ にログインし、「会員情報の確認・変更」から行ってください。